馬肉、馬肉料理のまめ知識です 個人の見解もあるので・・・

さくら肉の語源は?
馬肉のことをさくら肉と言いますがその語源はというと?諸説ありますが、あたりまえに肉の色が桜色だから…。う~ん、ちょっと物足りない。桜の咲く時期につぶされた(ト殺)馬肉が一番美味しいから…?なぜかというと、夏の青草ばかり食べた馬より、冬の間に穀類をたくさん食べ脂がのった馬の方が美味いということらしい…。こんなところが語源でしょうか??

馬肉は本当に甘い?
馬肉の味は一般に甘味があると言われます。その秘密はグリコーゲンという物質。グリコーゲンの元はブトウ糖!馬肉には牛肉の3.5倍以上ものグリコーゲンが含まれています。だから本当に甘いのです。



桜色と変色の理由
馬肉にとってその色は命です!馬肉が鮮やかな桜色なのはヘモグロビンとミオグロビンという色素タンパク質によるものです。ヘモグロビンが血液の色であるのに対し、ミオグロビンは肉本来の色素で馬肉には特に多く含まれます。しかし、両者はいづれも鉄分を含んでいて空気に触れると酸化し易い。桜色が短時間で変色(茶褐色)してしまう理由です。

馬肉になる馬って?
確かに昔は在来馬を食べていました。もちろん今木曽馬を食べることは出来ません。一般に国内産(国内でト殺された馬)と呼ばれている馬肉は、実はサラブレッドのような競走馬なのです。ただしいきなりト殺して食べるのではなく、牧場等で放牧し、濃厚な飼料をたっぷり与え、食用として太らせてから肉にするわけです。

馬糞石について
馬糞石とは…その名の通り馬の糞と一緒に出てくる内臓で出来た石のことです。右の写真のような大きな物は、食肉のため馬を解体した時に取り出されたものです。馬の運動により、内臓の中で転がり浸食されるので球状になります。写真左右の毛むくじゃらの石は、飼料といっしょに自分の毛を取り込んでしまったと考えられます。最近の馬からは飼料や飼育環境の違いからか、このような大きな馬糞石は見つかりません。

馬刺し

ヒレ肉やモモ肉を刺身として食べます。もっとも単純な料理ではありますが、馬肉の美味しさを堪能するにはやはり馬刺しが一番ではないでしょうか。
馬肉には水分が多く含まれ、加熱するとすぐに硬くなり、旨味も減ってしまいます。また牛肉や豚肉と違い、寄生虫がつきにくいという特徴も馬肉を生で食べるのに適しているようです。
伊那谷の馬刺しはさくら肉の名前の通り、いわゆる霜降りではなく赤身です。しかし新鮮な馬刺しほど(つぶしたばかりの馬刺し)実は桜色ではなく、赤黒く、時間とともに紅色に変わっていくのです。
馬刺しは生姜醤油につけて食べるのが定番ですが、ニンニク醤油を好む人も多いようです。
また、タテガミ脂をチーズ代わりに馬刺に挟んで食べる、そんな通な食べ方も馬肉グルメの間では人気が高いようです。

スキヤキ(さくら鍋)

一昔前までは、伊那谷でスキヤキといえば馬肉のスキヤキを指していました。いわゆるさくら鍋です。
食べ方としては、牛のスキヤキと変わらず、薄くスライスした上肉(モモやロース)をシラタキ・白菜・長ネギ・牛蒡・焼き豆腐・春菊と一緒に鉄鍋で煮ます。タレは醤油と砂糖が主で、味噌を使う家庭もあります。(越後屋の場合、醤油・砂糖・みりん・酒・味噌を使って、割り下を作ります。)
馬スキで重要なことは煮すぎないことです。馬肉はその性質上、すぐに硬くなってしまう肉です。まめに鍋に箸を入れ、肉を返し、火が通りきらないうちに食べるのがポイントです。ころあい良く煮上がったところを、溶いだ生卵につけて食べます。そして馬肉がはけたところで、残り汁にうどんを入れ、ご飯代わりに食べるのも伊那谷では一般的です。

おたぐり

馬の内臓(モツ)の煮込みを、伊那谷では「おたぐり」と言います。漢字で書くと、「お手繰り」になるのでしょうか。ご想像の通り馬の腸は30メートル以上もあり、まさに手繰るほどの長さなのです。
よく水洗いされた新鮮な腸を一口大に切り、鍋で長時間煮ます。柔らかくなってきたら、味噌、醤油、みりん、酒等を加え、さらに煮込みます。3~4時間はあたり前で、1日中煮る場合もあります。(圧縮鍋を使うと短時間で煮ることができる)
煮上がったモツを小皿に盛り、刻んだ長ネギ、七味唐辛子をかけて食べます。独特なくさみも消え、女性でもわりと抵抗なく食べることができます。
七味のかわりに、一味、キムチ調味料、ニンニク等をつかっても美味しいと思います。
またおたぐりは、成人病予防や長寿の健康食としてメディアでも紹介されています。

馬テキ

牛肉を強火で焼くとまず表面の繊維が硬くなり、溶け出したエキスは肉の内部に閉じ込められます。このようにジューシーな旨味を逃すことなく食べられるのがステーキの良さと言えます。ところが馬肉の場合、牛肉のようにはすんなりいかないようです。
肉の主成分であるタンパク質、とくにタンパク質成分の一つである肉基質は、加熱すると縮み、硬くなるという性質があります。そして馬肉はこの肉基質が、牛や豚肉よりかなり多いのです。
また馬肉は他の肉に比べ水分含量も多く、中心部への熱が伝わりにくいという性質も持ちます。
この結果、強火で焼くと表面はすぐに硬くなるが、中心部は冷たいまま。反対に弱火で時間をかけて焼くと水分が蒸発して今度は全体が硬くなってしまう。なんともステーキとは相性の悪い肉のようです。馬テキを美味しく食べるには、肉の厚さと火加減がポイントと言われる所以はこんなところからでしょうか。

タテガミチーズ

  • 馬糞石
    店内に展示してあります 店宝です!
  • 「今日の夕飯はスキヤキだよ!」
    伊那谷の家庭では馬肉のスキヤキでした
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